「緋色の研究」のあらすじ!登場人物についてもご紹介

「緋色の研究」について

緋色の研究は、コナン・ドイルの小説「シャーロック・ホームズ」シリーズの最初の作品です。
執筆されたのは1886年で、発表されたのが翌年の1887年。

 

「緋色の研究」が掲載された、「ビートンのクリスマス年鑑」1887年11月号。
緋色の研究初版
出典

 

デカデカと「A Study of Scarlet」って書いてありますね!

 

この小説を発表した時、著者のアーサー・コナン・ドイルは、開業医でした。
本業が暇なため、その時間を小説にあてていたということですが、もし医師として大成功していたら、シャーロック・ホームズは生まれなかったかもしれませんね。
それか、引退した後の空いた時間で小説を書いていたかも知れませんので、シャーロック・ホームズの登場が遅れたかも。

 

名探偵シャーロック・ホームズと、相棒ジョン・ワトスンの出会い、コンビで初めて挑む殺人事件と、話題性抜群の「緋色の研究」。

 

小説は

  1. ホームズとワトスンとの出会いと事件の推理
  2. 事件の背景と犯人逮捕、その後

 

と、大きく分けて二部構成になっています。

 

それではあらすじに行ってみましょう~!

 

 

 

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「緋色の研究」あらすじ

※あらすじは、アーサー・コナン・ドイル著「緋色の研究」(創元推理文庫)を参考にしています。

 

【第1部】

ホームズとワトスンの出会い

医学博士のジョン・ワトスンは、古い友人であるスタンフォードと偶然再会し、同居人を探していたシャーロック・ホームズを紹介される。

 

ワトスンは軍医補としてアフガニスタン戦争に従軍するが、ジェノサイド弾によって肩を負傷、その後ロンドンに帰還していた。
プライベートホテルに滞在していたワトスンは、経済的な理由から下宿先を探していたのだった。

 

ホームズはワトスンと握手をするなり「アフガニスタンに行ってきましたね?」と、ワトスンを驚かせるが、ワトスンはこの「科学的で奇妙な男」とベーカー街221Bで同居を始める。
ホームズは自らを「探偵のコンサルタント」と自称し、実際にホームズを頼って相談に訪れる人達をワトスンは目の当たりにする。

 

 

事件発生

ある日スコットランド・ヤードのグレグスン刑事から、ホームズのもとに事件の一報を知らせる手紙が届く。ロリストン・ガーデンズ三番地にある空き家で、「イーノック・J・ドレバー」という男性の遺体が発見されたというのだ。空き家へ侵入した経緯、死因、動機が全て謎であり、グレグスンはホームズに捜査の相談を持ちかけてきたのだった。

 

ワトスンとともに現場を訪れたホームズ。
遺体は外傷がないが、周りにはおびただしい血痕や血のりが残っているのを見たホームズは、「血は犯人のものでは」と推測する。
そして、遺体を運び出す時に女性の結婚指輪が発見されるが、ホームズはそれが事件を解決する重要な手がかりと見る。

 

壁には 「RACHE」という文字が残されていた。
グレグスンは「RACHEL(レイチェル)」と解釈したが、ホームズはドイツ語で復習を意味する「RACHE」とホームズは断言する。

 

遺体第一発見者のジョン・ランス巡査から話を聞いたホームズとワトスンは、巡査から「事件発見時、その家の木戸に寄りかかっているひどい酔っぱらいがいた」という証言を得る。

 

 

結婚指輪

結婚指輪が犯人にとって重要な意味を持つことを予測したホームズは、「ブリンクスンロードで結婚指輪を拾いました。心当たりのある方はベイカー街221Bのワトスン博士あてに連絡ください」といった趣旨の広告を新聞の夕刊に掲載した。

 

ホームズとワトスンは、万が一に備えて用心していたが、指輪を取りに訪れたのは、歩くこともおぼつかない老婆だった。
老婆は「その指輪は娘サリーのもの」だと言い、ホームズたちは指輪を老婆に渡す。

 

老婆が犯人の一味と予感したホームズは、老婆の後をつけるが、老婆はホームズを見事に煙に巻き、尾行は大失敗に終わる。

 

 

犯人逮捕?

グレグスンは意気揚々としてホームズの元を訪れ、犯人を逮捕したと報告する。
逮捕されたのはアーサー・シャルパンティエという海軍将校。ドレバーが同行していた秘書のジョーゼフ・スタンガスンと共に宿泊していた宿の女主人の息子だった。

 

マダム・シャルパンティエにはアーサーの他にアリスという娘がいるが、ドレバーはアリスに興味を示し、宿を引き払う当日、アリスを強引に連れて行こうとしたのだ。
怒ったアーサーはドレバーを叩き出す。その後ドレバーは乗車する汽車の時刻になっても姿を表さず、空き家で変わり果てた姿となって発見されたのだった。

 

ドレバーの秘書スタンガスンが何かを知っていると行方を追うホームズたちだったが、「ハリデーズというプライベートホテルで死亡しているのが発見された」というレストレード警部の一報に愕然とする。

 

 

【第2部】

モルモン教徒に救われた2人

時は1848年、舞台は北米大陸の砂漠。
ジョン・フィリアと幼女・ルーシーは、飢えと喉の渇きの中砂漠をさまよっていた。
食べ物と飲み物は底をつき、ルーシーの母親を含む彼らの連れはすでに餓死していた。2人も死ぬ運命のみ残されている状態だった。

 

歩き疲れその場に座り込んだ2人は、天に祈りを捧げながら深い眠りに落ちていく。

 

そこへモルモン教の一行が通りかかり、2人を救助する。
一行はイリノイ州ノーヴーから「都シオン」を目指し移動中だった。
モルモン教団に加入することを条件に、ジョンとルーシーは彼らと行動をともにする。

 

 

ルーシーとジェファースン

ブリガム・ヤングをリーダーとしたモルモン教の開拓団一行は、ソルトレイクシティに独自のコミュニティを築く。

 

ジョンは自分で家を建て、ルーシーを養女として育てながら真面目に働き、12年後にはコミュニティ屈指の資産家になっていた。

 

ルーシーもまた、美しい少女へと成長していった。

 

ある日ルーシーは炭鉱探しにやってきたジェファスン・ホープと出会う。
ルーシーに恋心を抱いたジェファスンは、度々ジョンの家を訪れるようになり、ルーシーも次第に心を寄せていく。

 

 

町を離れるその日、ジェファスンはルーシーに「2ヶ月後に戻ってきたら求婚する」と告げる。
ルーシーは快諾し、ジェファスンを見送った。

 

 

町からの脱走

ジェファスンの婚約者となり幸せの絶頂にいたルーシーだったが、運命は彼女の思いと反対の方向に動いていく。
モルモン教団は一夫多妻制を推奨していて、年頃になったルーシーもその対象になったのだ。

 

ある日ブリガム・ヤングがジョンのもとを訪れ、ルーシーと、ドレバーかスタンガスンのどちらかと結婚するように命令する。

 

一夫多妻制を拒否し、ルーシーとジェファスンの婚約を祝福していたジョンは、返答を先延ばしにしていたが、断れば命はないことを悟る。

 

町を出ようと決心したジョンは、ジェファスンに手紙を書く。
手紙を受け取り事態を知ったジェファスンは、厳戒態勢をくぐり抜け、ジョンとルーシーの元へ戻ってきた。

 

ジェファスンの手引きを頼りに、3人は街を脱出することに成功、警戒の薄い荒野を逃げ延びるのだった。

 

 

 

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「緋色の研究」登場人物

  • シャーロック・ホームズ・・・探偵のコンサルタント
  • ジョン・H・ワトスン・・・ホームズの相棒で医師
  •  

  • レストレード警部
  • トバイアス・グレグスン警部
  • ジョン・ランス巡査
  •  

  • イーノク・J・ドレバー・・・アメリカ人旅行者
  • ジョーゼフ・スタンガスン・・・ドレバーの秘書
  • マダム・シャルパンティエ・・・下宿屋の経営者
  • アリス・シャルパンティエ・・・マダム・シャルパンティエの娘
  • アーサー・シャルパンティエ・・・アリスの兄で海軍 中尉
  •  

  • ジョン・フィリア・・・旅人
  • ルーシー・フィリア・・・ジョンの養女
  • ジェファスン・ホープ・・・ルーシーの婚約者

「緋色の研究」ネタバレ

注意 ここからは小説のネタバレになります。ご注意!

 

 

「緋色の研究」の犯人

犯人はジェファスン・ホープ。
ジェファスンは御者で、ホームズに頼まれた浮浪児たちの手引きでベイカー221Bに馬車を走らせてきた。

 

2階に上がるようホームズに言われ、ホームズに犯人と指摘された途端、窓から身を投げようとした。

 

 

過去の出来事と犯人の関係

ジェファスンは第2部に登場したジェファスン・ホープと同一人物。

 

無事に町を脱出したジョン、ジェファスン、ルーシーの3人だったが、「もう追ってこないだろう」と気を許したある日、ドレバーとスタンガスンの追手に見つかってしまう。

 

それがジェファスンが食べ物を探しに2人から離れた時に起こったことで、ジョンはその場で殺害され、ルーシーはコミュニティに連れ戻されてしまった。

 

その後ルーシーはドレバーと無理やり結婚させられ、心労が元で病死する。

 

ルーシーの葬儀に紛れ込んだジェファスンは、ルーシーの指から結婚指輪を抜き取ると、復讐を誓ってその場を去った。

 

 

犯人の手口

ジェファスンはドレバーとスタンガスンを執拗に付け回し、復讐の機会を伺っていた。

 

身の危険を感じた2人は住まいを転々とし、ヨーロッパまで逃げる。
ジェファスンも2人の後を追い、その地で働きながら2人を監視していた。

 

英国でようやくジェファスンは復讐のチャンスを掴む。
宿屋を追い出されたドレバーは辻馬車を拾うが、御者はジェファスンだった。

 

ジェフェスンはドレバーを例の空き家に連れ込み(以前客が落とした時にこっそり作った合鍵で家の中に入った)、ドレバーに自分の正体を告げる。
気が動転しているドレバーに、毒入りとそうでない丸薬を選び、同時に飲み込むという「薬の決闘」を挑んだ。

 

ドレバーは、毒入りの丸薬を選んだため死亡。

 

ジェファスンは喜び勇んで空き家を後にするが、結婚指輪を落としたことに気が付き戻る。
しかしすでにそこにはランス巡査が事件を発見していたため、ジェファスンは大酔っぱらいのふりをしてその場をやり過ごした。

 

 

その後ジェファスンはスタンガスンが滞在しているホテルを突き止め、ドレバーと同じように決闘を挑む。
しかしスタンがスンはジェファスンに襲いかかってきたため、ジェファスンは刺殺した。

 

 

事件その後

ジェファスンは胸に大動脈瘤を患っていて、いつ破裂してもおかしくない状態だった。
逮捕されたジェファスンは、ホームズたちに事件の顛末をすべて話すが、その夜に大動脈瘤が破裂して亡くなったのだ。

 

ホームズはジェファスンを犯人とつきとめた経緯をワトスンに説明する。

 

事件を伝える新聞は、事件解決はレストレードとグレグスン両警部のおかげと報じている。
それを読んだホームズは「つまりはこれが、われわれの重ねてきたすべての『緋色 の 研究』の結末というわけだ 」と言い放つ。

 

それを聞いたワトスンは、ホームズの活躍を記述して世に広めることを決める。

 

 

 

 

 

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