『まだらの紐』は、シャーロック・ホームズの短編小説中で、8番目に発表された作品です。
『まだらの紐』が一番初めに発表されたのは、1892年2月号の『ストランド・マガジン』で、『シャーロック・ホームズの冒険』に収録されました。
数あるホームズの短編小説の中でも、ドイル自身が気に入っていたと言われている、『まだらの紐』。
シャーロック・ホームズシリーズは、何でも好きですが、この作品は傑作の中に入るかもしれないなと、個人的に思います!
それでは、『まだらの紐』のあらすじを見てみましょう。
最後にネタバレもありますので、お楽しみに♪
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1883年4月のある朝、ワトスンはホームズに起こされ、依頼人が訪れていることを告げる。
上品な身なりをした女性は、憔悴しきった様子で、ホームズに調査を引き受けてほしいと懇願する。
女性の名前は、ヘレン・ストーナー。
サリー州ストークモーランのロイロット家の出身だ。
ロイロット家はかつて、イングランドでも指折りの大富豪だったが、当主の放蕩生活がたたり、ヘレンの継父の代には、屋敷と数エーカーの土地以外、すべて失っている状態だった。
ヘレンの継父であるロイロット博士は、カルカッタで開業医として成功を収めたが、相次盗難事件を巡り、執事を殴殺してしまう。
逮捕されたロイロット博士は、刑期を終え、妻(ヘレンの実母)と共にイギリスに帰国した。妻は帰国後間もなくして亡くなり、現在はヘレンと暮らしている。
以前はヘレンの双子の姉であるジュリアも同じ屋敷で暮らしていたが、彼女は2年前にこの世を去ったという。
このジュリアの死こそ、ヘレンがホームズに話したいことだったのだ。
ジュリアは実母の妹であるホノーリア・ウェストフェールの家で、海兵隊の少佐と出会い、婚約する。
結婚式が迫ったある夜、ヘレンはジュリアの叫び声で飛び起きた。
恐怖に怯えた様子のジュリアは、身体を痙攣させながら、ヘレンに「まだらの紐よ!」と叫び、意識を失い、そのまま帰らぬ人となった。
ジュリアの遺体を調べた検視官は、死因を見つけることができず、室内は外部から人が侵入した形跡は見られなかった。
時は流れ、ヘレンはパーシー・アーミティッジという男性と結婚することになった。ちょうど屋敷の改修工事が始まり、ヘレンはジュリアの部屋を使うことになった。
部屋で休んでいると、どこからともなく口笛が聞こえてきた。
その口笛は、姉が亡くなる前にも聞こえていたことを思い出したヘレンは、震え上がり、朝になるのを待った。
そして、馬車を飛ばしてホームズのもとに駆けつけたのである。
ホームズは、ヘレンが継父のことで何か隠し事をしていることを察する。
ヘレンの手首には、強い力で握られたようなアザがあった。
ストーク・モーランへ行くことを決めたホームズとワトスンが話をしていると、突然大男が部屋に入ってきた。
大男は自身を「グリムズビー・ロイロット博士」と名乗り、家のことに首を突っ込まないようクギを刺すと出ていった。
ホームズはドクターズ・コモンズへ行き、メモでぎっしり埋められた青い紙を手に戻ってきた。
そして、ピストルと歯ブラシを1本持つと、慌ただしくレザーヘッド行きの列車に飛び乗った。
ストーナー邸に向かう途中でヘレンを見かけたホームズとワトスンは、そこで馬車を降り、ヘレンと落ち合う…
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犯人はロイロット博士。
亡き妻が残した遺産を、嫁ぐ継娘たちに分け与えるのを渋っていた博士は、殺害することを決めたのだ。
ホームズは、侵入してきた蛇をステッキで打ち負かすと、蛇はもと来た道を戻り、博士を襲った。毒蛇に噛まれた博士は絶命する。
ホームズとワトスンは、ヘレンを叔母のもとに送り届けた。
その帰り道、ホームズはワトスンに、事件の種明かしをする。
ジュリアが「まだらの紐」と表現したのは、実は博士が飼っていた毒蛇のこと。
ジュリアの部屋と続いている排気口に蛇を放ち、放たれた蛇は、紐を伝ってジュリアを襲った。
しかし、ヘレンの殺害を試みた時は、ホームズによって、毒蛇は撃退された。
攻撃性が増した毒蛇は、最初に目についた博士を襲ったという訳だ。
ヘレンやジュリアが耳にした口笛は、博士が蛇を呼び寄せる合図であり、ガチャンという金属音は、金庫のドアの音である。