『アビー荘園』を読んだ感想をご紹介します。
静かな田舎町で起きた殺人事件。
すでに容疑者の目星はついているものの、残るミステリー。
アビー荘園では何が起こったのでしょうか。
スリリングな展開に、満足できた内容でした!
小説のあらすじや登場人物について知りた場合は、こちらの記事を参考にしてください。
⇒ 『アビー荘園』のあらすじ!ネタバレもチェック
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田舎の豪邸を舞台に事件が発生というのは、他のシャーロック・ホームズ小説と似たような設定です。
しかし、容疑者が早い段階で浮上するうえ、「他に犯人がいる説濃厚」がにおう展開に、ドキドキさを抑えられませんでした。
ホームズの人間臭さも垣間見れましたし。
こういうワンパターンに見えて実はそうではない、というのがシャーロック・ホームズ人気の素だと思います。
ますますハマってしまいます!
今回の事件は、ルーイシャムの強盗団によるものと一定の解決をみたものの、何か腑に落ちないホームズ。
居ても立っても居られず、途中下車して引き返しましたよね。
事件を解決したいというのは、ホームズの自己満足かもしれません。
しかし、その箇所を読んでいる時、なぜか責任感の強さや事件解決にかける情熱も感じてしまいました。
あまり感情に流されることのないキャラとして描かれているはずなのに。
不思議ですね。
「血の通った」ホームズが描かれていたのは、他にもあります。
事件解決のために、ワトスンを道連れに途中下車したホームズですが、その時、ワトスンに道連れにしてしまったことを謝っていましたよね。
事件を解決すること以外関心がなければ、このような態度はしないでしょう。
また、ブラックンストール夫人から真実を聞き出そうとする、物腰の柔いホームズ。
この時私の頭をよぎったのは、
『Sherlock』のホームズでも、ジェレミー・ブレット版の『Sherlock Holmes』のホームズでもありませんでした。
私の中では、推理にのめり込んでワトスンにも気を配り、さらに悲嘆に暮れている相談者の手を優しく握りながら話を聞く、ベイジル・ラスボーン版の『Sherlock Holmes』でした。
やっぱり原作に一番近いです。見た目もベイジル様が一番シャーロック・ホームズですし。
話も終盤になり、事件解決の前段階になる頃、
「事件の真相はこれからわかる」「ドラマの最終場面に立ち会おうとしている」といったセリフが、ホームズの口から出てきます。
なんてワクワクさせられる展開でしょう!
お決まりのパターンで進んでいるのに、それを感じさせないんですよね~。
日本語訳でも伝わってくるこの魅力。
こういう言葉の使い方が、ファンを惹きつけて離さないんだろうなって思います。
最後は、正当防衛でもこんなうやむやにしていいのかと疑問は残ったものの、「裁判」でケリをつけるとは、粋な計らいをホームズにさせましたね、ドイルさんは。
事件以外に興味がないのか、それとも情け深い人なのか。
ホームズは本当に神秘的なキャラです!