『技師の親指』は、9番目に発表されたシャーロック・ホームズ短編小説です。
初めて公開されたのが、1892年3月号の『ストランド・マガジン』。
現在は、『シャーロック・ホームズの冒険』に収録されています。
タイトルからして興味がそそられますね。
それでは『技師の親指』のあらすじをご紹介します♪
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事件が起きたのは、ワトスンが結婚して間もない1889年の夏。
見知りの車掌が、ワトスンの元へ若い男性の患者を連れてきた。
患者の名前は、ヴィクター・ハザリー。
ロンドンのヴィクトリア街に住んでいる、水力技師だった。
何者かに刃物で襲われ、親指を切り落とされたという。
ハザリーから事情を聞いていくうちに、ホームズに相談した方がよいと判断したワトスンは、彼をベーカー街に連れて行く。
ハザリーは、独立し事務所を構える身であること、そして先日事務所に訪れた一人の紳士について話し始めた。
ある日ハザリーのもとに、「ライサンダー・スターク大佐」なる人物が訪れる。
スターク大佐は、アイフォードという小さな村にある水力圧縮機の調子を見てほしいと依頼し、ハザリーはこれを受け入れた。
スターク大佐がハザリーに依頼した理由は、フーラー土を手に入れるためだ。
スターク大佐の敷地からフーラー土の層が見つかり、それを掘り起こす際に水力圧縮機を購入した。しかし、調子が悪くなったため、ハザリーに見てもらおうとしたのだ。
スターク大佐とマネージャーのファーガスンから水力圧縮機の内部に案内されたハザリーは、圧力が低下している原因を見つけ出す。
さらに、機械を念入りに調べ、スターク大佐がフーラー土目的で水力圧縮機使うことは建前だったことに気づく。
スターク大佐はハザリーを水力圧縮機の中に閉じ込めるが、ハザリーは間一髪のところで逃げ出した。
スターク大佐邸で見かけた女性に助け出されたハザリー。
しかし、窓から飛び降りる際に、親指をスターク大佐によって切り落とされてしまったという。
ハザリーの話を聞き終えたホームズは、1年ほど前に新聞に掲載された広告を見せる。
それは、失踪した若い水力技師を探す、お尋ね人の広告だった。
ホームズとワトスン、そしてスコットランドヤードのブラッドストリート警部ら一行は、列車に乗りアイフォードに向かった。
列車が液に到着した時、ホームズたちは、ビーチャー博士の家から火の手が上がっているのを目にする。
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火の手が上がっていた家は、ハザリーが命からがら逃げ出した屋敷だった。
スターク大佐はおそらく、ビーチャー博士(ファーガスン?)宅に居候していた人物と考えられる。
2人はここで偽造貨幣を製造していた可能性が高い。
エリーゼを含む3人は、レディング方面へ逃げたが、それ以上の足取りはわからなかった。
焼跡からは、ハザリーの親指や水力圧縮機の一部が見つかった。
しかし偽造貨幣は見つからず、ビーチャー博士らによって持ち去られた線が濃厚だ。
また、気を失ったハザリーを安全な場所まで移動させたのは、土に残された跡から、エリーゼとビーチャー博士の2名と推測される。
ハザリーは、踏んだり蹴ったりの結末に、我が身を嘆く。
しかしホームズは笑いながら、座談人として今回の経験を語り続けられると言った。