『ブルースパーティントン設計書』は、シャーロック・シリーズ1「大いなるゲーム」のベースとなった、コナン・ドイルの短編小説です。
兄のマイクロフトが登場して、ブルースパーティントン設計書が国家を揺るがすシロモノだったことを発見!
そしてそして、あっという間に事件が解決と、スリリングなストーリーでした。
シャーロックの「大いなるゲーム」も、ドキドキ・ワクワクしたけど、「ブルースパーティントン設計書」もかなりのものでした。
あらすじについては、「ブルースパーティントン設計書のあらすじ!」に書きましたので、興味があったらそちらを参考にしてくださいね。
ここでは小説についての感想と、気になったことについて書いてみます!
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冒頭からすっかり引き込まれてしまいました。
濃い霧で行動が制限されているホームズとワトスンの描写。
ホームズのいらいらが目に見えるよう!本当に生き生きと描かれていますよね。
頭の中で、イメージしやすいと言うか、心地よさ抜群です!
ホームズの兄、マイクロフトは予想以上に出番が少なかったような気がしますが、インパクトありましたね~。
体格が良くて頭が弟よりキレキレ。
聞いただけでもへぇえええ!
マイクロフトは影で政治を操るような存在で、その彼が国家の一大事と騒ぐわけですから、どんな一大事だよ、ってなりますよね。
もしかしたらドイルは、そんな読者の気持ちを見透かしていたのかもしれませんね~。
本当に、読者の好奇心を刺激するのが上手!
マイクロフトが登場するまでちょっと焦らされた気がします。
早く登場しないかな~とヤキモキしましたが、死体が線路に遺棄されたカラクリも知りたくて仕方なかったです!
犯人が大物っぽかったので、もう少し登場しても良かったかなとも思いましたが、読んでよかった、と思えるような内容でした♪
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『ブルースパーティントン設計書』では、通りの名前や地名などがいくつか登場しました。
本当にあるのかな?って気になりますよね?!
実際にあるまたはコナン・ドイルが作った架空のものもあわせてご紹介します!
マイクロフトにはマイクロフトなりのレールがあって、彼はそのレールの上だけしか走らない。ペルメル街の住まい、〈ディオゲネス・クラブ〉、そしてホワイトホールの役所――これが兄の循環コースだ。
引用:アーサー・コナン・ドイル. シャーロック・ホームズ最後の挨拶 【新訳版】 シャーロック・ホームズ・シリーズ (創元推理文庫) (Kindle Locations 2079-2080). 株式会社 東京創元社. Kindle Edition.
シャーロックが紹介した、マイクロフトの移動コースですね。
マイクロフトが創立に関わったと言うディオゲネス・クラブは、コナン・ドイルが作った架空の施設ですが、ペルメル街は実在します。
ペルメル(Pall Mall)という通りがある、と言った方が正しいかもしれませんが。
ホワイトホール(Whitehall)も通りの名前にあります。
ペルメルに接続しているので、マイクロフトの移動ルートとしてはしっくりきます。
小説内で「ホワイトホールの役所」と表現されていますが、ホワイトホール通りはシティ・オブ・ウェストミンスター内を走り、ダウニング街や国防省、ロンドン警視庁など、国の中枢が密集しています。ここを自分の庭のように行き来しているなんて、マイクロフトの優秀さを強調するかの設定ですね。
カドガン・ウェストの遺体が見つかったオールドゲート駅(Aldgate station)は、実在するロンドンの地下鉄駅です。
サークル線とメトロポリタン線が走り、リバプール・ストリート駅の隣駅になります。
『ギリシア語通訳』は、シャーロック・ホームシリーズの短編小説で、マイクロフトが初めて登場する作品として知られています。
小説内では、マイクロフトの知人でディオゲネスクラブに出入りしている、ギリシア語翻訳者を巻き込んだ事件の推理をシャーロックは担当しますが、マイクロフトの人物像やディオゲネスクラブ誕生の背景などについての記述があります。
事件の舞台となったウリッジ工廠は、テムズ川沿いにあったイギリスの海軍工廠です。
設立されたのは1512年で、ヘンリー8世はここでアンリ・グラサデューの建設を命じたと言われています。最盛期には56エーカーの敷地内にクロックハウスやロープ加工所、大砲埠頭、複数の工場や倉庫が建てられました。
ウリッジ工廠は1800年代に入ると、蒸気工廠化しましたが、次第に稼働範囲が縮小していき、1869年に閉鎖。
『ブルースパーティントン設計書』の時代設定は1895年なので、その時はすでにウリッジ工廠は稼働していなかったということになります。
ウリッジ工廠があった場所は、いくつかの建物をのぞき当時の面影はほとんどなく、一部は工業地区や住宅地として利用されています。
キャピタル・アンド・カウンティーズ銀行は、19世紀後半から20世紀前半にかけて存在した、イギリスの銀行です。
1877年に設立、国内に437もの支店を持つほど大きな銀行に成長しましたが、1918年にロイズ銀行に買収されました。
暗号のやり取りに使われた新聞は、デイリー・テレグラフでしたが、実在する新聞社で、しかも創立されたのが1855年。
小説の年代には、実際に存在していたことが分かります!
と、なぜか心がウキウキします^^;
デイリー・テレグラフは国内で最も多い発行部数を誇る新聞社としての地位を築き、保守党よりとしても有名です。
イギリスには、デイリー・メールという新聞が発行されていますが、デイリー・テレグラフとは別ものですが、サンデー・テレグラフは姉妹紙です。
事件解決後、ホームズはエメラルドのタイピンを、「さる優渥なる貴婦人」から贈られましたが、この貴婦人とは、ヴィクトリア女王のことを指します。
ホームズが招かれたのは、ウィンザー城、イギリス君主の公邸ですものね。
ヴィクトリア女王をおいて、誰がいるだろうか、といったところでしょうか。