シャーロック・ホームズ短編小説『海軍条約事件』。
ホームズの冴えた推理とドキドキするような展開は相変わらずですが、ホームズの以外な一面も出たりして、短編ながら、読み応え抜群!
『海軍条約事件』について感想を書いてみました。
「面白かったよね♪」という気持ちをシェアできたら嬉しいです!
小説の中で気になったことについても調べてみましたので、良かったら参考にしてくださいね♪
犯人の名前を出したりと、ネタバレする部分もありますので、それでもOKという場合のみ読み進めてください。
スポンサードリンク
小説は、ワトスンが結婚したという下りからはじまりますが、「へぇ、ワトスン結婚したんだ!」と、冒頭からすでに引き込まれてしまいました(笑)
『海軍条約事件』を読む前に、『ブルーパディントン設計書』を読みましたが、どちらも国家機密に関する書類が紛失、盗み出した犯人をホームズとワトスンが探すという流れに共通点があります。
ですが、書き出しも話の展開も異なるため、「つまらない」っていうのがないんですよね。
実は小説読む前に、すでに犯人は誰だか知っていたのですが、それでも面白かった!
ホームズがどうやって犯人を特定して、海軍条約の原本を取り返したか、その過程を知りたくて、ウズウズしてしまったからですね。
これもコナン・ドイルのすごいところですよね~。
脳炎を患うほど衰弱していたフェルペスさん、どうなることかと思ったけど、ハッピーエンドで良かった。
これもホームズのおかげですね、お見事!
『海軍条約事件』の最後は、ホームズがジョーゼフの人となりについて解説して終わり、やや物足りなさも感じました。
でも推理小説を読むドキドキ感は十分あったので、満足しています!
『海軍条約事件』では、「へぇ」と思った、ホームズの以外な一面について描写されていました。
フェルペスと話をしている時、ホームズは庭に咲いている薔薇に目を留め、その美しさを褒め称えました。
ワトスンじゃないけど、理論的で科学に興味のあるホームズが、自然に興味を持つなんて意外ですよね。
ホームズ曰く、推理には科学だけでなく、宗教も必要だそう。
「理論家の手にかかれば、宗教も精密科学さながらに緻密に構築されうるのです。神の恵みの確かさも、ぼくにはなにより花の美のなかにこそ宿ると思える。他のすべてのもの、われわれの力なり、欲望なり、食物なり、それらすべては、生存のため、まず第一に必要不可欠なものです。しかしこの薔薇はそうではない――余分なものです。これの香りも、また色も、生きるための必要条件ではなく、たんなる飾りにすぎない。
ない。とはいえその余分なものを与えうるのは、ひとり〈神〉のみなのです。ですからね、くりかえしになりますが、ぼくはこう言いたい――われわれも花を見て、そこから多くの希望をひきだしうるのだ、と」
引用:アーサー・コナン・ドイル. 回想のシャーロック・ホームズ 【新訳版】 シャーロック・ホームズ・シリーズ (創元推理文庫) (Kindle Locations 4901-4907). 株式会社 東京創元社. Kindle Edition.
なるほど。
薔薇に興味を示すのは、そうした理由があるからですね。
さすが、私とは違うな~(笑)
ウォーキングからロンドンに向かう列車の中で、ホームズが高架橋から見下ろす町並みが好きだとワトスンに言いました。
ワトスンにしてみれば、ただの薄暗い住宅街。
何が良いのかさっぱりわかりません。
住宅の中にある大きな建物群について、ホームズは「煉瓦の島」と表現しました。
(「それはただの小学校だろ」という、ワトスンのツッコミが面白かった)
「とんでもない、灯台だよ!未来を照らすかがり火があれだ!種をつつむ莢だと言ってもいい――それぞれに、光り輝く小さな種子が何百、何千と詰まっている。やがて莢がはじけると、わが英国の未来という、より賢く、よりすばらしい種がとびだしてくるんだ…」
アーサー・コナン・ドイル.回想のシャーロック・ホームズ【新訳版】シャーロック・ホームズ・シリーズ(創元推理文庫)(KindleLocations4942-4945).株式会社東京創元社.KindleEdition.
こんな詩情的な表現、ホームズはあまり使いませんよね(私の知っている限りですが)。
ほんとに意外でした。
ワトスンとフェルペスの待つベイカー街に戻ってきたホームズ。
2人じゃないけれど、何をして、どうなったのか、本当に気になりましたよね!
そんなことはお構いなしというように、自分のペースで朝食をとるホームズ。
フェルペスにも食べるようすすめ、彼が目の前にある皿の蓋を開けると…
そこには…
なんと探し求めていた原本が!!
まさかまさかでしたよ。
私はホームズがウォーキングで一人何をしたのか、それを知りたくてウズウズしていたわけですから。
フェルペスの驚きと嬉しさが本当に伝わってくる瞬間でした。
こういう粋な演出するから、ホームズ好き♪
スポンサードリンク
場合によって『第二の汚点』とも呼ばれる、シャーロック・ホームズ・シリーズの短編小説です。『海軍条約事件』内では、『第二の血痕』について、少し語られている部分もありますが、実際の作品には、その記述は含まれていません。
なぜ食い違ったのか、いろいろと説があるようですが、コナン・ドイルさんにしてみれば「いちいち覚えていないよ!」と言ったところでしょうか^^;
ホームズが最近解決した事件として「第二の血痕」「海軍条約事件」とともに名前の挙がった「疲れたキャプテンの事件」。
これは「語られざる事件」に分類される事件になります。
ホームズがしきりに称賛したという、ベルティヨン式人体測定法は、フランスの犯罪学者アルフォンス・ベルティヨン(1853-1914)が考案した犯人特定方法です。
当時のフランスでは、再犯による重罪を避けるため、犯人は偽名を使うことが当たり前のようにはびこっていました。
それを見かねたベルティヨンは、人の座高や頭幅など、11箇所を測定してデータを収集、そのデータを組み合わせることによって犯人を特定するシステムを構築しました。ちなみにベルティヨン式人体測定法で他人とかぶる確率は400万分の1とのことです。
ベルティヨン式人体測定法の成功でベルティヨンは警察官僚に出世を果たし、その名声はコナン・ドイルがシャーロック・ホームズを使って称賛するまでに高まりました。
ベルティヨン式人体測定法は、指紋による個人識別方法が確立されるまで、犯人を確定する決定的な方法として利用されたようです。
『まだらの紐』は、シャーロック・ホームズ短編の1作で、1892年2月号の『ストランド・マガジン』に掲載されました。短編の中では、8番目に発表された作品になります。
ヘレン・ストーナーという女性がホームズのもと訪れ、母の遺産や姉の謎の死、さらに自分も身の危険を感じていることを話し、調査を依頼します。
調査に乗り出したホームズですが、依頼人であるヘレンも謎の死を遂げる…というふうに、話はミステリアスに展開していきます。