暗号はカワイイけど、内容は冷酷

ドラマ・シャーロックの「死の暗号」のベースと言われている『踊る人形』。
短編小説ながら推理小説の面白さが散りばめられていて、コナン・ドイルの世界にすっかりと引き込まれてしまいました。

 

出てきた暗号が人形の絵文字で、とってもカワイイ!

 

なんてワクワクするような展開ではありませんでしたが…

 

『踊る人形』のあらすじなどについてはすでに記事にしてしまったので(「踊る人形のあらすじと登場人物、ネタバレも」)、ここでは感想や、小説に出てきたことについての豆知識についてご紹介しますね。

 

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踊る人形の感想

踊る人形の感想と豆知識(対応表など)

出典

 

短編小説は読み切りやすい!
というのが読み終わった直後の感想です。

 

殺人事件を題材にした小説ですが、スッキリとした気持ちが出るのは、ストーリーの展開が小説の長さにぴったりとハマっているからなんでしょうね。
あっさり事件が解決するというわけでもなく、「長編だったら良かったのに」なんて不満もなく。
ちょうどよいストーリー展開とはこういうことか、というのを実感した作品でした。

 

やっぱりドイルさんすごいわ。

 

過去から逃げるようにイギリスにやってきたという筋書きは、『恐怖の谷』を彷彿とさせますね。でも、話の中にワクワクや面白さが凝縮されていて、マンネリ感は皆無。読んでいて幸せな気分になりました。

 

人形を暗号に使うというアイデアがとても良く、暗号の解読方法も「へぇ~!」と感心してばかり。
どうやったらこんなアイデア出てくるんだろう。ここがドイル作品の魅力ですよね。

 

 

エルシーが瀕死の重傷という設定は、ホームズに推理する時間を与えるためだったのかも知れませんね。
もしエルシーが軽傷だったら、何が起きたか話を聞くだけでわかってしまいますからね(笑)。
と、そんなことがちらっと頭をよぎってしまうこともありましたが、話の流れが自然なので、違和感全くなし。

 

 

ホームズがエルシーを装ってどんな手紙を書いたか、気になるところでしたが、踊る人形を使って描かれた「すぐここにきて」という短いもの。
ホームズが、エルシーに恋い焦がれるエルブの心境を見越して書いたのですから、さすがと言う他ありません。
こんな短い一言に、エルブが望んでいることをまとめるなんて、ホームズさん、かっこよすぎる!

 

 

事件とは全く関係ありませんが、私が一番好きなのは、小説の冒頭、投資についてのホームズとワトスンのやり取りです。
ワトスンが南アフリカの金鉱に投資しないことを見破ったホームズ、「なんで知ってんの?」と、驚くワトスン。そしてなぜ見破ったか演繹的に説明するホームズ。
2人が実在するかのような、生き生きとした描写が大好きです!

 

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踊る人形についての豆知識

人形の絵とアルファベットの対応表

キュービット邸に残されていた子供の落書きのような絵、実は暗号だったんですね。
各人形の絵は各アルファベットに対応していて、それを読み解くとメッセージが浮かび上がります。

 

どの絵がどのアルファベットに対応しているのか、気になりますよね。
対応表見つけたのでご紹介します。

 

踊る人形の対応表
出典

 

暗号には旗を持った人形が描かれていることもありますが、この旗は単語の区切りを意味しています。

 

たとえば"am here Abe Slaney"(俺はここだ、エイブ・スレイニー)と人形の絵で表現する場合

 

踊る人形暗号例

 

と、表現できます。

 

慣れてないと読みづらいですよね。
「暗号いいから、文字で書いて!」って言ってしまいそう(苦笑)。

 

 

イースト・アングリア

事件の舞台となったイースト・アングリアは、イングランド東部の地域を指します。
現在のノーフォークとサフォーク全域、そしてエセックス、ケンブリッジシャー、リンカーンシャーの一部がイングランド東部になり、イースト・オブ・イングランドが管轄しています。

 

イースト・アングリアはかつてアングロ・サクソン七王国のひとつ、イースト・アングリア王国として栄えたことにちなみ、「東のアングル人の土地」という意味があります。

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