本の感想

 

シャーロック・ホームズ・シリーズ『ギリシャ語通訳』は、ホームズの兄が登場する小説として有名なので、以前から読みたいなと思っていました。

 

 

そんな『ギリシャ語通訳』についての感想です!

 

読んでいて、気になることや知りたいことについても調べてまとめました。

 

あらすじや登場人物については、こちらの記事をお読みください♪
⇒ 『ギリシャ語通訳』のあらすじ!ネタバレもチェック

 

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『ギリシャ語通訳』感想

ギリシャ語通訳と、事件はどんな関係があるのかな?と、タイトルから気になっていました。

 

読み進めていくうちに、タイトルの意味がわかってきましたが、人間関係といいストーリー設定といい、見事でしたよね。
どこにも矛盾がなくて理路整然としていて。

 

そして、ユーモアも入っていて。
一番笑ったのが、ディオゲネスクラブでマイクロフトがワトスンに「シャーロックの記録係」と言ったシーンですね。

 

確かにそうなんだけど(笑)

 

ホームズのお兄ちゃんのキャラが一番良く表現されているようなセリフでした。

 

 

登場人物の描写に、ドイルの洞察力の高さがうかがえたのも、良かったです。

 

例えば猫背の中年男。

 

メガネをかけて、神経質な物言いをする、そして、何か言うたびにクスクス笑う…

 

心がくすぐられる表現にまいりました~。
まるで生身の人間のように、キャラが生き生きと描かれているではありませんか。

 

 

作品内で活躍したメラス氏もいいキャラに描かれていましたね。
メラス氏は、中年男の質問をギリシア語に訳し、老紳士の答を英語で中年男に伝えましたが、機転を利かせて事情を聞き出そうとしたメラス氏、かっこいい~(萌)。

 

 

ただ、最後がちょっとあやふやだったのが残念でした。

 

ハロルドとウィルスンは、ソフィーを連れ各地を転々としていて、ブダペストで命を落としました。
ハンガリー警察は、2人が喧嘩をしてお互い刺しあったと見ていましたが、ホームズは違う。

 

一体真相は何なんだろう?

 

ひょっとしてソフィーが悪玉?などと考えてしまいました。

 

ソフィーがどうなったかもよくわかりませんし。
作品にあまり登場しなかったので、ミステリアス、というのもあるかもしれません。

『ギリシャ語通訳』豆知識

『ギリシャ語通訳』の魅力のひとつとも言えるのが、ホームズの家族関係が垣間見られるという点ですよね。

 

オラース・ヴェルネ

ホームズの祖母の兄として名前が挙がったオラース・ヴェルネ(1789-1863)は、19世紀に活躍した、フランスの画家。フランス兵を題材にした作品が多く、『ヴァルミーの戦い』や『アルマの戦い』などでよく知られています。

 

オラースのお父さんはカルル・ヴェルネという有名な画家で、さらにそのお父さん、つまりオラースのおじいさんですね。クロード・ジョセフ・ヴェルネも、有名な風景画家でした。ホームズの祖母がオラースの妹ということですが、オラースに兄弟がいたのかどうかはわかりません。小説上の設定ですし、ホームズ自体が架空の人物ですが、ホームズの主張に従うと、ホームズはフランス人の血を引いていることになりますね。

 

 

ペルメル街とホワイトホール

マイクロフトの自宅があるペルメル街と、勤め先のあるホワイトホールについては、すでに記事にしてあります。
興味があったら読んでみてくださいね。

 

⇒ 海軍条約事件・感想と豆知識

 

 

ディオゲネスクラブ

人とのかかわりや、つきあいが嫌いな人達ばかりが集まっているというディオゲネスクラブは、架空のものです。

 

本当にあったらおもしろそうですね!
私はどちらかというと人づきあいが苦手で、1人の世界にこもっている方が好きなので、会員になってどんなふうにみんな過ごしているか見てみたいです!

 

でも…

 

私語は禁止って、集まる意味があるのか?!

 

 

カールトンクラブ

ペルメル街からセント・ジェームス街を通り、ディオゲネスクラブに向かう途中にあるという「カールトン・クラブ」は、実在したクラブです。
設立されたのは、1832年。保守党の前身と言われているように、当時の保守党メンバーたちが立ち上げたということです。

 

設立当初は、「カールトンテラス」と呼ばれている建物に入居していましたが、小説に登場したのは、1835年に移動した場所です。

 

1940年、ドイツ軍の空襲によって、建物が全壊し、クラブはセント・ジェームス通り69番地に移動しました。
カールトンクラブは1990年にも、IRAによって建物が爆破されています。

 

イギリスを代表する政党ですから、標的になりやすいのかもしれませんね。

 

 

マナー・ハウス事件

これは、犯人の名前まで出てきましたが、語られざる事件です。

 

 

ウォンズワース緑地(Wandsworth Common)

メラス氏が放り出されたという、ウォンズワース緑地は、南ロンドンにある、パブリックコモンです。
現在は、整備され、緑が広がるのどかな場所になりましたが、ホームズの時代は、小説に描写されているように、寂しい場所だったようですね。

 

メラス氏が、現在のウォンズワース緑地に放り出されたとした場合、最寄り駅はウォンズワース駅なのですが、出会った赤帽は、クラパム駅に行くよう言いましたよね。
もしかしたら、列車の乗り入れに関係しているのかもしれませんが。

 

ただ、ウォンズワース緑地から、クラパム駅までは、約1.2マイルと、だいたいあっています。

 

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