シャーロック・シーズン1第1話「ピンク色の研究」は、小説「緋色の研究」がベースになっています。
タイトル見ただけでわかりますね。
「ピンク」と「緋色」違い♪
こんな風に、原作と似ているな~、というところもあれば、「変えてるね!」といった部分ももちろんあります。
「緋色の研究」と比べながらドラマを観るのも楽しいくらい。
緋色の研究がベースになっていると言いつつ、ところどころ他のシャーロック・ホームズ小説を参考にした場面もあったりします。
知っている限りでご紹介しますね♪
この記事では、エピソードのネタバレになる部分がありますのでご注意ください!
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ピンク色の研究の流れを簡単にまとめてみました。
ジョンは古い知り合いのスタンフォードとロンドンで偶然再会する。
↓
同居人を探しているジョンに、スタンフォードはシャーロックを紹介する。
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2人はベイカー街221Bで同居を開始する。
↓
ロンドンで謎の「自殺」事件発生、これまで3名の被害者が出ていた
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ローリストン・ガーデンの空き家で、ピンク色のコートを着たジェニファー・ウィルソンが遺体で発見される。
床にはジェニファーが削ったと見られる「Rache」というダイイングメッセージが残っていた。
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ジョンは謎の人物(シャーロックの兄のマイクロフト)と接触、シャーロックの情報を提供する代わりに報酬を支払うと依頼を受ける。
ジョンは断る。
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レイチェルのものとみられるピンク色のスーツケースをシャーロックが発見。
戻ってきたジョンに、レイチェルの携帯電話番号にメッセージを送るように言う。
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待ち合わせ場所で待機していたシャーロックとジョンは、怪しいタクシーを発見。
追いかけるが人違いだった。
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家に戻ってくると麻薬所持の疑いで家宅捜索が始まっていた。
シャーロックは「レイチェル」の意味を発見する。
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呼んでもいないタクシーがベイカー街221Bに到着。
この運転手・ジェフこそ犯人!
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ジェフの「賭け」に乗せられ、シャーロックはカプセルの一つを口に入れようとした。
ほぼ同時にジョンが遠くの窓からジェフを狙って撃ち、ジェフはその場に倒れる。
黒幕の名前を言うようシャーロックに追いつめられたジェフは、「モリアーティ」と叫んで死亡。
一方、小説「緋色の研究」のストーリーは
ワトスンとホームズの出会い
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空き家で死体が見つかる
↓
犯人は御者のジェファスン・ホープ
↓
事件発生に起因する出来事
↓
逮捕されたジェファスン・ホープ死亡
となっているので、流れは大体同じ。
ですが、エピソードでは、事件発生に起因する出来事が描写されてる「緋色の研究」第二部(「聖徒の国」)がすっぽり抜け落ちています。
犯人の動機やバックグラウンドが全く違うから仕方ありませんが、これが小説とエピソードの一番大きな違いではないでしょうか。
もちろん、モルモン教も登場しません。
ジェファスン・ホープは、亡き婚約者ルーシーの結婚指輪を殺人現場に落とし、新聞広告を見てベイカー街に取りに来ましたよね。
「ピンク色の研究」では、婚約指輪はジェニファーの携帯電話に変わり、シャーロックはメッセージを通してジェフとコンタクトを取りました。
メッセージに反応してジェフが登場したのはエピソードの終盤で、小説のように「指輪を取り返してシャーロックを煙に巻いた」というストーリー展開はありませんでした。
結婚指輪と携帯電話も大きな違いですよね。
もう一つ大きな違いは「モリアーティ」の登場ではないでしょうか。
「ピンク色の研究」では、ジェフの背後にいるスポンサーがモリアーティという人物であることがわかりましたが、「緋色の研究」では、モリアーティの「モ」の字も出てきません。
ちなみにモリーアティは、「モリアーティ教授」としてシャーロック・ホームズの小説に登場しますが、「緋色の研究」には登場していません。
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シャーロックの原作との比較はすでに記事にしているので、そちらを参考にしてください。
⇒ 現代版シャーロック、原作と時代設定の比較すると悶える!
エピソードに登場したサブキャラと原作のキャラを比較してみますね。
登場人物 | 「ピンク色の研究」 | 「緋色の研究」 |
---|---|---|
スタンフォード |
バーツの研修医時代の知り合い。 |
バーツ時代のジョンの外科手術助手。 |
犯人 |
ジェフ・ホープ |
ジェファスン・ホープ |
ブリクストンのローリストン・ガーデンで発見された遺体 |
ジェニファー・ウィルソン |
イノーク・ドレバー |
レストレード |
スコットヤードの警部。 |
スコットランドヤードの警部。 |
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「緋色の研究」では、ワトソンが「クライテリオンのバー」に立っているときに、スタンフォードに声をかけられて再会しますが、「ピンク色の研究」ではジョンが公園を歩いているときに、ベンチに座っていたスタンフォードに声をかけられました。
ジョンとスタンフォードはその後、ベンチに座ってコーヒーを飲みながら会話をしますが、ジョンが持っているコーヒーカップには「Criterion(クライテリオン)」の文字が印刷されています。
軍の年金でほそぼそと暮らしているジョンが、高級レストランで食事というのは身の丈にあっていないという理由からだそう。
こういう細かい小細工、すごく好きです!
「ピンク色の研究」でのシーンに、バーツで、シャーロックは実験と称して遺体に鞭を打っているところがありました。
これは、「緋色の研究」でスタンフォードがホームズの特徴を描写している時に出てきます。
ジョンとシャーロックの初対面のシーンで、シャーロックがジョンに「アフガニスタンか、イラクか?」と聞きました(「ピンク色の研究」)。ワトスンとホームズの場合は、「アフガニスタンですね?」とホームズが質問(「緋色の研究」)。
前者は2001年にアフガニスタンで勃発した紛争と、2003年~11年にかけて有志連合軍(アメリカ、英国、ポーランド)がイラクに軍事介入したイラク戦争のことを指しているとみられます。後者は、1878~1880年にかけて勃発した、第二次アフガニスタン戦争のことです。
シャーロックに興味を持ったジョンは、インターネットを使ってシャーロックについて調べ、彼が運営しているサイトを発見しました(もちろん「ピンク色の研究」のシーンです!)。
ネットの存在がなかったコナン・ドイルの時代ですから、原作には登場しません。
ですが、この「推理の科学」 (The Science of Deduction) は、原作の第一部第二章の題名と同じです。
「ピンクリオの研究」でも、「緋色の研究」でも、ブリクストンのローリストン・ガーデンにある空き家が事件現場となりました。
違ってるのは被害者が男性(「緋色の研究」)と女性(「ピンク色の研究」)であること、そして原作では初めの被害者でしたが、ドラマでは4人目でした。
死因はどちらも毒死でした。
原作の被害者の周りには、犯人のジェファスンがこぼした鼻血が残されていましたが、ドラマにはありませんでした(ジェニファーは雨にあたってコートが濡れていましたが)。
現場に残された文字ですが、どちらも「Rache」でした。
ですが、原作とドラマではいくつか違いがあります。
ピンク色の研究 | 緋色の研究 | |
---|---|---|
残された場所 | 床 | 壁 |
残した人物 | 被害者のジェニファー | 犯人のジェファスン |
文字の意味 |
「Rachel(レイチェル)」 |
「Rache(ラッへ)」 |
「ピンク色の研究」では、ジェニファーのスマホが事件解決の鍵となりました。
ジェニファーのスーツケースには、彼女の携帯電話は無く、犯人が持ってると推測したシャーロックは、ジョンの携帯からメッセージを入れ犯人をおびき出しました。
一方の「緋色の研究」では、ルーシーの結婚指輪が同じ役割を果たしています。
ルーシーの形見である結婚指輪を事件現場に落としてしまったジェファスン。
ホームズはその指輪を見つけ、犯人にとって大事なものだと推測、新聞広告を使って犯人をおびき出しました。
ドラマのエピ「ソードでは、「緋色の研究」以外にも引用されている部分があるのでいくつかご紹介します。
被害者の一人。
同じ名前の青年が、小説「ソア橋」の冒頭にある「語られざる事件」に登場します。
傘を取りに行ってそれっきり戻ってこなかった、という設定は、「ソア橋」と同じです。
ハドソン夫人の隣に住み、同じく大家として下宿を営んでいるターナー夫人。
ハドソン夫人は、ターナー夫人として、小説「ボヘミアの醜聞」に登場しています。
ジョンがマイクロフトのところからベイカー街に戻ってきた時、シャーロックは腕にニコチンパッチを3枚貼っていました。
これは、小説「赤髪連盟」の中に出てくる「煙草3服文の問題」からヒントを得ているようです。